サナフミのラーニングジャーナル

実践からの学びをまとめています

【マインド】人生の伏線回収をする

かつてお世話になった人の思いは、年月が経ってこそわかる

ここのところ、お世話になった先輩や恩師の話を聞く機会が多い。相手の武勇伝や昔話はほどほどに、共に過ごした思い出話を掘り下げるところが醍醐味である。

自分と相手が過ごした時間の記憶は、当然自分の頭の中にある。その記憶は、時間が経つほど、どんな出来事があったのか薄れていき、自分が変化することで出来事への認知も変わっている。

しかしながら、そもそも記憶していることは自分の周りのこと、自分が見聞きしたことであり、知らないところで何が起こっていたのか、他人がどう思い、考えていたのかは当然知らない。だからこそ、時間が経った今、お世話になった方に聞くのだ。当時、どんな思いで、どんなことをしていたのか。聞いてみると驚きと感動の連続である。

ある恩師は、当時とても厳しかった。音楽の練習の時、失敗すると「もう演奏しなくていい」時間に遅れると「帰れ」と言われる。子どもだった自分はとても怖い思いをしていた。しかしながら、なぜ厳しくしていたのか。恩師に尋ねると、そうしないと収集がつかないほど子どもたちの協調性がなかったからだ、と話してくれた。

当時、子どもの保護者はわが子が協調性がないとは全く理解しておらず、「うちの子はちゃんとしている」と考えていたらしい。だから、厳しいことを言うと親から文句を言われたそうだ。恩師は「おたくのお子さんはですね、」と言いたい気持ちをグッと抑え「すみません」と頭を下げて過ごしたという。それでも厳しさは変えず、自分が言わなければならない、と使命感を持って子どもと接していたのだ。

もう何十年前の話だが、今話を聞くことで、厳しさの背景を知ることができた。子どもにあえて厳しく接するのも優しさ、くらいにしか感じることができていなかった自分。恩師の見えない苦労は聞かなければわからない。そして、それは当時聞いたって教えてくれないし、意味がわからない。今だからこそ味わえることなのだ。

お世話になった人の話を聞かせてもらおう。人生の伏線回収ができる。
そして回収で終わってはならない。いただいたものを次世代へ恩送りするのだ。