サナフミのラーニングジャーナル

実践からの学びをまとめています

【茶道】集中には対象が必要である

集中力とは存在しない概念である。

本日の稽古にて、イマイチ集中し切れていないように感じたので、「よし、集中しよう」と意識した。しかしながら、何を、どうすれば集中できるのだろうか、と心の中で戸惑いが生まれた。

そもそも人間はスイッチを押せば集中できるようにはできていない。いや、集中とは何か、から考え始める必要がある。集中を英語で言えば、concentration。動詞ならconcentrateである。集中するは動詞的な意味なので、concentrateとなるが、これにはonという前置詞が必要となる。そして、その後には名詞(何に対して)としての対象が必要である。

つまり、集中する、という動詞単体では存在しない概念であり、ましてや集中力といった一般的な能力を定義することは困難である。だから、何に対して集中するのか、と対象を定めるところから始めなければならない。

今回の場合は、茶の湯の稽古であるので、お手前となるが、立ったり座ったり、道具を持ったり置いたりする中で、対象を定めることは難しい。自分の手に集中したとしても、流れの中で、立ち上がらないければならないこともある。対象を切り替えれば良いのか、とも思ったが、それは次の段階のような気がしている。

あれこれ悩んだ結果、現時点での結論は、自分の感覚に集中する意識だ。

今、自分は何を感じているのか。道具を取るのに、上半身をどう倒し、手をどのように動かし、お道具からどんな手触りを感じるのか。

茶筅から竹の匂いを感じている。お湯の入った茶碗の温かみを感じている。水が柄杓から注がれている音を感じている。といった、たくさんの感覚が茶室には存在している。これらを一つ一つ丁寧に感じ、その身体感覚に集中し、理想に近い動きを実現していくことが究極なのでないかと考える。

オンラインでは絶対に再現できない世界が茶室にはある。